まこ雑記帳

北海道札幌市から、なんでもない日々をつらつらと

『木曜日のこども』読了

 

木曜日のこども(2019年角川文庫) 重松清

 


f:id:makko1577:20220629184835j:image

 

7年前、旭ヶ丘の中学校で起きた、 クラスメイト9人の無差別毒殺事件。 結婚を機にその地に移った私は、 妻の連れ子である14歳の晴彦との関係をうまく築けずにいた。 晴彦は、犯人の上田祐太郎の面影があるらしい。 上田が社会に復帰したこの夏、ある噂が流れる―― 世界の終わりを見せるため、ウエダサマが降臨した。 やがて近所で飼い犬の変死、学校への脅迫が相次ぎ、 私と晴彦の距離は縮まらないまま、再び「事件」が起きる。

 

重松清さん、家族や夫婦のストーリーが多いので入り込みやすく好きな小説家の一人です

今回の本は『疾走』(2003年)を彷彿させる表紙なので、それっぽいのかな?と手に取りました

 

 

中年男性が再婚をきっかけに、年頃の連れ子との向き合い方への葛藤は『幼な子われらに生まれ』を思い出しましたね

 

 

重松さんは、多感な中学生の心理描写がとても上手だと私は思っています

内側に溢れるものとの足掻きや葛藤の表現は、読み手にも息苦しさを感じます

それに合わせて、家庭における中年男性の「揺れ」の書き方が非常に巧みなのが、重松作品を手に取る理由かもしれません

 

 

重松風サスペンス?

今まで読んだ重松さんの作品とは少し違う本作でした

どちらかというと、サスペンス寄りかなと

 

 

主人公の清水は大人の体裁のようなプライドを拭いきれないまま、新しい家族とのスタートしますが、靄の中を歩くような日々

そして、真っ直ぐが故、歪んだ世界に入り込む再婚相手の息子晴彦

このパターンになると、母親は線が細いタイプが多い気がします笑

 

中学生9人を毒殺した上田と、その友人高木の狭い世界のまま心の成長が止まった(言い換えれば厨二病的な)狂気さの書き方にも引き込まれていきました

 

重松作品は「実際にありそう」なのが魅力

いじめ、少年犯罪、複雑な父子関係 それらを織り交ぜたストーリーは重苦しいものでしたが、最後少しの光が見えたとき、この父子の今後に希望を持てたのが読後の心の澱が少し浄化されました

 

ちなみに、本作で出てくるマザーグースの歌

以下は谷川俊太郎

美しいのは 月曜日の子ども
品のいいのは 火曜日の子ども
べそをかくのは 水曜日の子ども
旅に出るのは 木曜日の子ども
惚れっぽいのは 金曜日の子ども
苦労するのは 土曜日の子ども
可愛く 明るく 気立ての良いのは
お休みの日に 生まれた子ども

 

日曜日生まれの私は、気分屋さんかな